別館

2007年10月16日 Tue

またしても偽造事件

泣きっ面に蜂とはこのことですねぇ。
6月20日の建築基準法改正でこれまでよりも審査が格段に厳しくなり、構造設計者にはますます風当たりが強くなったと思っていたら・・・
また偽造事件ですか・・・

N.G表記にO.Kの紙を切り貼りするなんて、なんとバカなことをしてくれたんでしょう。(涙)
同業者にまだこんなバカがいるのかと思うとやるせなくなります。
この際、徹底的にやってもらいましょう。
こんなやつらがいる限り、国民に信用してもらえることはないでしょう。

松田平田にしろ、構造計画研究所にしろ、業界じゃ名前の知れたところが何故チェックもできなかったんでしょうねぇ。
しかも遠藤孝というドアホは構造計画研究所の元社員だと言いますから開いた口が塞がりません。
姉歯事件から何も学べなかったのでしょうか。

国交省の構造設計者性悪説は大反対でしたが、こんな奴等を排除するためなら厳しい審査も喜んで受けますとも。

マジで頭に来た!

横浜のマンション構造計算書に改ざん、首都圏の調査を指示
 国土交通省は15日、横浜市西区に建設中の分譲マンション(9階建て、99戸)の構造計算書に改ざんが見つかったと発表した。

 同じ建築士が担当した物件が首都圏を中心にあるため、同省では、各自治体に偽装の有無を調べるよう指示した。

 このマンションの建築主は積水ハウス(大阪市)で、民間の指定確認検査機関「東日本住宅評価センター」(横浜市)が建築確認を行った。問題の構造計算書は、「藤建事務所」(埼玉県八潮市)の遠藤孝・1級建築士(60)が担当した。

 国交省によると、遠藤建築士はコンピューターで構造計算を行う過程で、建物の壁や柱が強度不足とならないよう、計161か所で実際とは異なるデータを入力していた。また、実際に壁の強度不足を示す「NG」が出た場合も、6か所で「OK」の表示に替えていた。

 遠藤建築士は横浜市の調査に対し、「数件で改ざんした」と偽装行為を認め、「改正建築基準法の施行(今年6月)前に着工したかったので、時間に追われていた」と話しているという。

 埼玉県によると、遠藤建築士は同事務所ではこれまで、計67件の構造計算を担当したという。

 積水ハウスでは「(分譲の)契約段階には入っていないので、顧客へ被害や影響はなく、設計を一からやり直したい」、東日本住宅評価センターは「手口が巧妙で見抜けなかった」としている。

 今回の問題は、積水ハウスが8月、マンションの住宅性能評価を民間機関に委託して行った際、構造計算書の改ざんが発覚。基礎工事段階で工事は中止された。

(2007年10月16日0時2分 読売新聞)
posted by Jango at 22:56 | 石川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(2) | Jangoの憂鬱

2007年07月05日 Thu

壊れかけのサンドバック

構造計算書偽造問題を受けて・・・
6月20日に建築基準法・同施行令が改正されました。
その内容は、構造設計者は悪いヤツばっかりだと言わんばかりの性悪説を前提とした非情とも言える内容です。

国は役所の審査では偽造を見破ることはできないと判断し、専門の審査員(適合性判定員と言います)2人によるチェックを課すことにしました。

まぁ、国民に不信を持たれている以上、審査の目が厳しくなるのはしかたないこととしましょう。
ただこの法律の怖いところは、施行されたと言いながら情報があまりにありません。
審査の概要は官報で示されたものの実際の業務に必要な詳細は未だ明かされていないのです。
当然、審査機関は審査要領が決まってないので困惑しています。
実務者として一番困るのは、審査して間違いがあったら訂正して合格とするのではなく、差し戻し(却下)すると言うのです。
はぁぁ???
間違い=偽造と言う構図なのです。

設計は算数ではありません。
正解は一つではなく、いくつもあるのです。
そこには建物の美しさや強度やコストが複雑に絡み合っています。
設計者は苦悩しながら自分なりの答えを出し、設計図に表現します。
もちろんケアレスミスは本来あってはいけません。
当たり前のことだと皆さん思うでしょうが、全く間違いが無く完璧な構造計算書や設計図を作ることは規模が大きくなるほど難しくなってきます。
じゃぁ、「多少のミスはしかたないか」なんてことを言うつもりはありません。
ある程度経験を積めば明らかにおかしいと思う断面や配筋は見ぬくことができます。
逆に言えば、計算しなくてもこの断面なら大丈夫とかこの配筋なら大丈夫と言う経験がミスを補ってくれると考えています。

先日、延べ面積が約16000m2程の建物の計算書と設計図を審査機関に提出しました。
工事の請負金額は20億円弱なんですが・・・

それくらいの規模になると必ず設計変更があります。
考えてみてください。
自分が20億円も出すとしたら、やっぱりこの部屋を追加してほしいとかこの部屋はこっちに移動したいとか、ここはやっぱり吹き抜けにしたいとかここは倉庫にしたいとか・・・
気が変わることってあるでしょ?
「新法では変更は全くできません!」なんて言われたらどうですか?

新しい法律だと審査機関に出したら最後・・・変更はNOなのです。
あ!厳密に言えばNOではなく審査のやり直しなんですがね。

ただ、今の建物は鉄骨造なんですが、鉄骨は材料を頼んでから届くまで今の時期は3ヶ月かかるんですわ。
これも僕の頭を悩ませる事柄なんですが、変更して鉄骨断面が変わるとその鉄骨はまた3ヶ月待たにゃならんのですよ。
お施主さんが変更したのは自分の都合だから工期が延びても良いよ♪
って言う寛大な方なら全然構わないのですが、この建物は来年3月にはもうオープンしているハズなんですわ。(汗)

だから顧客がもしワガママ言っても鉄骨材料が変わらないように余裕を持って設計しなければイカンのです。

そこでもう一つの問題。
設計さんも大変だろうから少し余裕を持って設計してくださいね。
その分お金出すからさ♪
って言ってくれれば何とでも対処できるんですよ。
ちょっと余裕持てば良いだけだからね。

しかぁ〜し!世の中そんなに甘くない!
前任者(他社)の設計ではすでに大赤字なんですよ!
会社からの至上命令で鉄骨量を〇〇〇トン少なくせよ!(T▽T)

言うのは簡単です。
「法律を守ったらそんな減額無理でっせ!」
と言えればまだ幸せです。
あろうことか・・・こんだけ減額できるだろうと言う予想で・・・
会社は仮契約を交わしました。

分かっていただけるでしょうか。僕の苦悩を・・・
審査側はプロの目が2人加わり、かつ、多少顧客のワガママに耐えるだけの余裕を持ち、かつ、赤字にならないように断面を絞り(鉄骨を減らし)、かつ、工期が間に合うように差し戻し(却下)があってはならない!!!

ひとつでも守れなければ・・・僕はどうなるんだろうねぇ・・・はっはっは!

これが実現できたら僕は紛れもなくスーパーマンです。

勝算?
少ないけれど・・・あります。
で・・・もし・・・仮にもしスーパーマンになったとしても・・・
誰からの賞賛があるわけでもなく・・・
いつものように
「おまえは良くやった!」
と自分で自分を褒めることでしょう。
はっきり言って、もう疲れたわ。
posted by Jango at 01:02 | 石川 ☔ | Comment(3) | TrackBack(0) | Jangoの憂鬱

2007年04月17日 Tue

弱音

こんな弱音を吐いてはいけないと分かっている。
しかし、たまにはガスを抜かないとやってられない。
姉歯ドアホ元建築士のおかげで構造設計者がクローズアップされ、世の中にこんな職業があることをほとんどの方が知ることとなったのだが・・・
建築士の信頼は地に落ちた。

このブログにも書いたけれど、構造設計者として少しでも信頼を得るために建築構造士を受験して資格取得したばかりなのに・・・
今度は建築構造士である水落氏による耐震強度偽造問題で建築構造士の信頼も揺らいでしまった。

国土交通省は役所のチェックだけでなく、構造の専門家によるダブルチェックが必要であるとして、適合性判定員になる新たなチェック体制を設けることとしました。
手の内を分かっている同業者が設計のチェックをすることになったのです。
要はもうズル(偽造や都合の良い法律の解釈)を許さないってことです。
まぁ、これだけ国民から不信感を持たれているのだからそれも致し方ないことでしょう。
実務経験豊富な構造設計のプロばかりを集めて実施された適合性半定員はほぼ全ての受講者が合格するかと思いきや、合格率はわずか40%。
僕?もちろん合格しましたとも!
ただ、国土交通省はまだ満足できないみたいです。

来年には構造設計1級建築士と言う新たな資格ができて、この資格を持っていなければ構造設計ができなくなるそうです。
信頼回復のために努力は惜しみませんよ。
あといくつ資格を取れば良いのですか?その資格を取れば偽造は無くなるのですか?
罰則を強化すれば偽造は無くなるのですか?
僕らはその資格を取れば自分の仕事に誇りを持てるのですか?

一つの物件を何人もチェックして偽造を無くすのは結構ですが、本来設計者「だけ」に許された設計思想までも審査員に強要され、低コストで高い耐震性の建物を短い設計期間で仕上げねばならず、さらに低報酬じゃやってられるか!と言いたくなります。
若者が構造なんてやりたくない!と言っている事実を御上は分かってるんでしょうか?
posted by Jango at 23:06 | 石川 ☁ | Comment(10) | TrackBack(0) | Jangoの憂鬱

2007年02月09日 Fri

建物の被害

何度もボツにしたテーマ・・・建築構造についてまた書いています。
一度に結論まで書こうとするから無理があるのであって、その日に書くテーマを絞り込んで再度挑戦しています。
と言いながら、この記事もボツにするかもしれないけれど・・・

第1回目は大地震が来た時の建物の被害についてです。
僕が設計したマンションに住む方から、

「あなたが設計したこのマンションは地震が来ても大丈夫ですか?」

と聞かれれば、即座に

「大丈夫ですとも!」

と言うに決まっています。
ただねぇ、構造設計者が言う大丈夫の意味と一般の方の大丈夫の意味は若干の温度差があると思うんです。
と言うのも、たぶん一般の方の大丈夫とは関東大震災級や阪神淡路大震災級の地震が来ても無被害で何の支障も無くまた住んでいけることを想定していると思うんですね。

「えぇ?違うの?」

と思われた方への答えはズバリ「NO」です。
もちろん、偽造や改ざんなど後ろめたいことは全くありません。
ちゃんと法律を守って設計をしています。

では何故、無被害ではないかをもう少し詳しく書いてみましょう。
現在、日本の耐震設計は世界で最も進んでいると言っても過言ではありません。
大地震が来てもほぼ無被害の構造物を設計することも可能です。
しかし、大地震が来ても無被害にするには、かなり建設費が高くなります。
ですから、構造物としてかなり重要度の高い建物でなければなかなかそんな設計はさせてもらえないのが現状です。

「俺は地震が来て自分の家が崩壊して死んでも文句ない!そんときゃ運が悪かったとあきらめるから地震が無ければ壊れない、とにかく安く建物を設計してくれ!」

なんて人が中にはいるかも知れません。
みんながみんなそんな考えでは、もしも大地震が来たら大勢死ぬことになります。
国もそんな建物を許す訳にはいかないから、日本で建物を建てる場合、「ある程度の地震」が来ても壊れないように耐震設計を行うよう法律で義務づけられています。

この「ある程度の地震」と言うのは2段階あるんですね。
まず一つは、震度4〜5くらいの中地震。
もう一つは震度6〜7の巨大地震が来た場合です。
日本は地震国ですから、中地震は皆さん何度も経験していることでしょう。
日本に住んでいるかぎり、生涯何度も遭遇するであろう中地震で建物が壊れてしまうようでは怖くてしょうがないですよね。
ですから、第一段階として、中地震が来ても建物は無被害か、軽微な補修をすればまた住むことができるように設計をします。

問題は大地震が来た場合です。
大地震が来て、建物にひび割れが入りまくって柱や建物自体も傾いちゃって、こりゃ相当な補修費をかけないと住めないぞ!?ってなくらいの被害を受けた建物は法律違反でしょうか?
なんとこれがOKなんですねぇ。(汗)
このへんが構造設計者と実際にマンションを購入されたオーナーさんとの認識に大きなギャップがあるように感じます。
誤解しないで頂きたいのは、大きな被害を許しても、建物は倒壊しないように設計している点は理解してください。

法律で求められる最低限の強度しかない建物の地震時想定被害をまとめると、こんな感じでしょうか。

中地震が来た場合 → 建物は無被害か軽微な補修で再使用が可能。
大地震が来た場合 → 大きな被害が出るかもしれないが倒壊はしない。

「倒壊はしないって・・・まさか法律ギリギリの建物なんて設計してませんよね?当然、ある程度余力を持たせますよね?」

と思われた方は人として当然の欲求だと思います。
残念ながら、「ズル」をしないで「安く」建てると言うことは、ギリギリの設計をするってことです。(T▽T)
そして、倒壊寸前でも合法ならば、姉歯物件は・・・
僕の姉歯に対する怒りを少しは分かって頂けたでしょうか。

皆さんのご意見を聞きながら、できればシリーズ化したいテーマだと思っています。empty2.jpg
posted by Jango at 23:32 | 石川 🌁 | Comment(2) | TrackBack(2) | Jangoの憂鬱