別館

2007年05月31日 Thu

消えたムトウ

ワシは久しぶりに街に出ようとバス停に立っておったんじゃ。
朝のラッシュの時間帯。
人が多いのは勘弁してもらいたいが、若いOLを見るのは悪くはあるまい♪
清々しい朝になりそうじゃのう。

間もなくワシの方に全力で走ってくる少年がひとり・・・
ワシの目の前で止まりワシに向かって一言。

「うはゆうぐざいます!」

げっ!ワシは大の子供嫌いなんだぞ!
しかも何だその「うはゆうぐざいます」ってのは!
「おはようございます」と言えんのかぁぁ!!
まぁ、確かに子供は嫌いなんだが、挨拶されてシカトするような大人はもっと嫌いなんでのう。
しかたがないわい。

「おぉ!おはよう。」

しかしなぁ。見知らぬ少年よ。何故ワシに向かって挨拶する?
ワシはおまえの先生か?親戚か?知り合いでもないじゃろうが!
このバス停にはワシの他にもたくさん人がおるのに・・・
何故ワシなんじゃ?
百歩譲ってワシが列の最後尾ならばまだ納得もできよう。
ワシは列の後ろの方ではあっても最後尾ではないのだぞ?
そう言うのを都会では「割り込み」と言うんじゃ!
このワシが社会のルールをその体に刻み込んでやろうかぁ?あ?あ?あぁん?

ま・・・まぁ、こんな田舎のバス停なら最後尾でも全員座れるんでのう。
今回だけは見逃してやろう。慈悲深いワシに感謝することじゃな。

しかしこの少年、よくよく見ると・・・
ホントに頭の悪そうな顔をしてるのぉ。
そう言えばこんな顔を以前にも見たことがあるような・・・

おぉ〜!思い出したぞ!
昔同級生じゃったムトウにそっくりではないか!
八の字に垂れた眉毛にひょっとこを思わせるそのクチはまさしくムトウじゃ。
その顔で鼻をたらしていたら思わず「ムトウ!」と叫ぶところであったぞ。
今日からおまえはムトウじゃ。わっはっはっは!
まぁ、2度と会うことは無いじゃろうがのう♪

バスの到着予定時刻を2分ほど過ぎているのを確認した時じゃったかいのぅ。
ムトウがワシのすぐ隣でバス停脇の木に何度も蹴りを入れ始めるではないか!

ガスッガスッガスッ!

全く、おまえはワシに引っ叩かれたいのか?
何故蹴る?その木が憎いか?何を考えておる?
いや・・・何も考えていないからこそ・・・意味不明の行動ができるのじゃろう。

しかし・・・何だ?その蹴りは?
膝はこう!でもって、角度はこうじゃ!
えぇ〜い!ちがう!バカモン!と思ったときに・・・
普段は冷静沈着なワシもつい声が漏れてしまったんじゃ。

「バ(カ)・・・・・・バスが来たみたうじゃのう。」

ふぅ、危ないところじゃったわぃ。
全く、子供ってやつは・・・だから嫌いなんじゃ。

ムトウはバスの最前列の方へ行ったので、当然ワシは最後尾の席に座ったんじゃ。
さてと、綺麗なお姉ちゃんはどこじゃ?
綺麗なおば様でもワシはかまわんぞ!ふははは・・・・ん?

ワシからは死角で顔は見えぬが、バス停に着く度にあのムトウの声が聞こえてくるではないか。

「はい。発車します。」(小声)

おいおい。運転手よ。マイクがムトウの声を拾っておるぞ!
おそらくムトウはいつもこのバスに乗っておるのであろう。
きっと運転手が言っている言葉を毎日聞いて覚えてしまったんじゃ。
たぶんワシだけでなく、乗客全員がムトウの声に気がついているだろう。
なのに運転手は全くの無反応。
そして、明らかにムトウは自分の声がマイクから聞こえてくるのを楽しんでいる。

その後もバス停に着く度に、
「はぁい。発車します。」(小声)

少しふてぶてしいしゃべり方といい、ドアが締まった直後の絶妙なタイミングと言い、思わず笑ってしまいそうになりながらも乗客の誰もが無反応。
おいムトウ!「はい」から「はぁい」に変わってるぞ!もうその辺にしておけ!

バス停を5つほど過ぎたところで、さらに調子に乗ってきたムトウの声がだんだん大きくなってきたではないか!
いやいや、これはもう子供の遊びでは済まされるようなレベルじゃないぞ。
おい、誰か注意せんか。何で運転手は黙っておるんじゃ?

そうか、いつの間にか子供を叱れない世の中になってしもうたのか。
あぁ、情けない!情けないぞ日本!

嘆いているのも束の間のことじゃった。
さらに調子に乗ったムトウのやつは「発車します」以外の台詞をしゃべり出したではないか!

「ドぅア付近の方。もう少し奥へつめてくださぁ〜い。はぁ〜い。発車します。」

おいおいおいおい。もう、子供のおふざけでは済まされんぞ!
誰か注意せんかぃ!運転手もマイクを向けるでない!遊ばれとるぞぉ〜!

誰も注意しないままついにワシが降りるバス停に着いてしまったではないか!
ワシは腑抜けの他の乗客どもとは違うでのう。
降り際にムトウにしっかり注意しようと乗客を掻き分けてバスの先頭まで行くと・・・

なに?ムトウの姿がない?どこだ?どこ行った?
さてはワシより先に今のバス停に降りたな?と思った時じゃ!
運転手がふてぶてしい口調でワシに向かってこう言ったんじゃ。

「お客さん、どぅっからですかぁ〜?」

「えぇ?ムトウ?いつの間に?」

すっとんきょうなワシの声はマイクを通して車内中に響き渡り・・・
目の前には小学生男子としか思えない声を発するオバちゃんが運転席に座っていた。

by Black-Jango
posted by Jango at 23:59 | 石川 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | black

2006年10月23日 Mon

写真の師匠

はて?ワシには弟子なんぞおったかいのぅ〜!
最近物忘れが多くていかんのぉ〜。
もっと近くで顔を見せてくれんかいのぉ・・・

(うほほぉ〜!めんこいのぉ〜♪)

ほ〜じゃった!ほ〜じゃった!思い出したわい!
確かにワシには弟子がおったわ!

任せておきなさい!
このワシが手取りむね取り教えてやればアラーキーなど・・・
ん?手取りこし取りじゃったかいのぉ?
そんなことは、どちらでも良いのじゃ♪
小さなことを気にしていては偉大な写真家にはなれぬぞぉ!

どれどれ、ワシが作品を見てやろう♪
写真というのはのぉ・・・このワシが指導すれば・・・むぅぅん??

(ゲッ!ワシよりうまい!)

ま、まぁ・・・なかなか筋は良いみたいじゃが・・・
ワシから見れば、まだまだじゃ!

こ、この写真には邪念がある!
良い写真とは澄んだ心でシャッターを切らなければならんのじゃ!

そう、邪念を取り除き生まれたままの心になるのじゃ・・・
生まれたままの心になるには、生まれたままの姿に・・・
そう!今ここで!生まれたままの

(ボコッ!)

娘 「全くしょ〜がないエロオヤジねぇ!!あたし?このエロオヤジの娘。」
弟子「今の大丈夫?死んじゃったんじゃないの?」
娘 「平気、平気。パパはママの真空飛び膝蹴りを食らってもヘッチャラだから♪」
弟子「・・・・・」
師匠「むぅぅ。ワシは誰?ここはどこじゃ?」
娘 「ほらね♪」
弟子「師匠!大丈夫ですか?」

師匠「はて?ワシには弟子なんぞおったかいのぅ〜!」
  「最近物忘れが・・・」

                           by Black-Jango
posted by Jango at 19:44 | 石川 ☁ | Comment(4) | TrackBack(0) | black